リーグアン オリンピックリヨンの2023-2024シーズンを振り返る

ヨーロッパ各国のサッカーリーグ戦が終了しました。シティの4連覇、クロップ監督のラストゲームレヴァークーゼンの無敗優勝など大きな話題が盛り沢山の週末でしたが、フランスリーグも大変なことになっていました。3位争い(ブレストとリール)の決着がついたのは後半ATでしたし、残留争いも17位ロリアンがまさかの5得点を上げたことで勝ち点だけでなく得失点差までも16位メッツと並び、最後まで分からない状況でした。そして何よりもRCランス、リヨン、マルセイユでのヨーロッパ選手権争奪戦も最後の最後まで目が話せない緊迫した試合展開となりました。

結果はなんとリヨンが後半ATに勝ち越しのPKを決め勝利。前節で6位だったランスが後半に追いつかれ引き分けたため、なんとなんとリヨンが6位に上がり、UEFAヨーロッパリーグの出場権を獲得したのです!!

前半戦のほとんどを最下位で過ごし、今季の目標は「残留」だったチームがまさかの大変身でヨーロッパリーグに出場。こんなこと、今までにあったのでしょうか?過去のデータは知りませんが、この歴史的な大逆転はまさに奇跡。どの選手も試合後のインタビューはこの信じられない劇的な結末に興奮していました。

 

そんな激動で歴史的なシーズン、私の興奮も大きく乱高下した一年を思い出として記録に残したいと思います。まずは、シーズンの流れを分かりやすく振り返るために、主要チームの順位変動表を作りました。イメージは箱根駅伝の動く順位表ですが、これは動きません。情報量が多くごちゃごちゃしていますが、なんとなく各チームの順位変遷がわかるかと思います。

リーグアン23/24シーズンの順位変動表

RCランスも開幕当初は苦戦していますが、明らかにリヨンだけが大きく遅れをとっていたのがよく分かります。そして15節以降の怒涛の追い上げも顕著です。この信じられない追い上げの立役者が11月30日に就任したPierre sage監督です。

 

次に今年のリヨンの主なニュースです。自分の思い出を振り返りながら時系列でみてみましょう。

第4節(9月3日) PSGに負け、最下位へ。

ヨーロッパカップ出場を逃した昨年。今年こそ強いリヨンが復活し、もう一度ヨーロッパへ!と大きな希望を抱いて臨んだ今シーズン。しかし開幕から全く噛み合わず連敗。PSG戦でもホームで1-4と惨敗。試合後、選手たちがサポーター代表から檄を飛ばされる映像はとても異様でした。

開幕から勝ち点を得られず最下位へ。

正直、プレシーズンの結果からはあまり期待できる流れではありませんでした。強豪マンチェスターUに1-0での敗戦は仕方ないにしても、その他の試合でも結局一得点も挙げられることができませんでした。財務規定から大型補強ができない制限があったとはいえ、チーム状態への疑問は素人ながらありました。メディア(L'EQUIPE)もそれが分かっているのか、開幕からわずか3試合の8月30日に、「2部降格?」というタイトルで動画を出しています。

L'EQUIPEのToutubeチャンネルサムネ画像(8月30日)。シーズン前には予想もしなかった「2部降格」の言葉が既に出始めました。

第10節(10月29日) マルセイユで敵サポーターの襲撃を受ける。

順位には関係ないニュースですが、マルセイユで選手たちを乗せたバスがマルセイユサポーターの襲撃にあった出来事はかなりショッキングなものでした。投石によりフロントガラスは大破、当時のグロッソ監督が目の上を縫う大怪我で、少しずれていれば失明の危険もあったそうです。スポーツとは全く関係のないところでこういったニュースが流れてしまうのがサッカーの悲しい一面です。

大怪我を負ってしまったグロッソ前監督

迷走を続けるリヨン。私も同僚から「来年は2部だね」と最初の頃は冗談を言われる毎日でした。でもそれが冗談ではなくなり、本当に今年の目的が残留することになっていました。この時はまさかこんな結末になるとは思ってもいなく、リヨンの試合が見たくない時期でした。私は本当のリヨンサポーターではないですね。

『目標:残留』 第11節(11月5日)にて

第12節(11月12日) 初勝利

開幕からおよそ3か月でようやく初勝利。前半早々相手のレッドカードで数的優位に試合が進められたとはいえ、リヨンにとっては大事な初勝利となりました。この勝利で呪縛が解けたのか、ここから少しずつ調子が上がり始めました。

開幕からおよそ3か月。ようやく初勝利。

11月30日 Pierre sage 監督就任

当初は監督「代行」の予定でしたが、年末の3連勝を買われ、2024年1月にシーズン最後までの契約となりました。戦術的なものだけではなく、ロッカールームの雰囲気もガラリと変えた彼。ここからチームが全く新しいものに生まれ変わりました。

Pierre sage監督の就任でチーム生まれ変わりました。

年末の移籍市場で補強に成功し、チームの戦力も大きく変わりました。新監督のもとチームが一変し、快進撃が始まります。リーグ戦では順調に勝ち点を積み重ね、降格圏を脱出。カップ戦でも見事勝ち進み、決勝まで駒を進めることに成功したのです。いつの間にか「残留」という言葉は誰も言わなくなり、それと同時にみんなが「もしかしたら・・・」と夢を見始めました。

L'EQUIPEのToutubeチャンネルサムネ画像(2月27日)。カップ戦を勝ち抜いたことで、ヨーロッパカップの可能性が出てきました。

L'EQUIPEのToutubeチャンネルサムネ画像(4月8日)。リーグ戦の結果でもヨーロッパカップ出場の可能性が出てきました。

第29節 (4月14日) 7位浮上

そして迎えた第29節ブレスト戦。劇的な大逆転勝利により、ヨーロッパカップ圏内の7位まで順位が上がりました!

生観戦したブレスト戦

最終節(5月19日) ヨーロッパリーグ出場権獲得!

ブレスト戦以降もモナコ、リールと強豪相手に競り勝ち、迎えた最終節。なんとしても勝って望みをつなぎたいリヨンは前半に先制するも、後半に追いつかれ、さらにPKを献上してしまう最悪の流れに。しかし今年のリヨンはここで負けないのです。奇跡的にゴールバーに助けられ、逆に後半ATにラカゼットがPKを決め勝利!同時に行われていていたRCランスが後半に追いつかれ引き分けに終わったため、最後の最後でリヨンが追い抜き6位フィニッシュ!ヨーロッパリーグの出場権を獲得したのでした。

試合後はもちろんお祭り騒ぎ。選手、スタッフが喜びを大爆発させている様子が既にXにも上がっています。スタジアムで花火が打ち上げられ、ロッカールームではシャンパンでお祝い。まるで優勝したかのような様子ですが、ある意味、普通に優勝する以上に奇跡的で価値のある日なのかもしれません。

https://www.ol.fr/fr/actualites/retour-en-videos-sur-une-soiree-pas-comme-les-autres

公式チャンネルでは既に「戻ってきたぜ!」のタイトルでヨーロッパカップの歴史を振り返る動画がアップされていました。

ヨーロッパカップに戻ってきたよ動画(公式チャンネルより)

一夜明けても興奮冷め上がりません。興奮した勢いで今シーズンのユニフォームまで購入してしまいました。最下位に沈み残留が目標だったチームがヨーロッパリーグの出場権を得る。こんな歴史的で奇跡的なシーズン、これから先には絶対ないでしょう!このユニフォームが私のこの一年の思い出を形として残してくれるはずです。

さぁ、今週末はこれを着てカップ戦決勝PSG戦をテレビで応援するぞ!

そしてリヨンの選手たち!Bravo!一生に一度の興奮をありがとう!